医療と同じく、法律問題も「早期発見・対処」が重要。ご利用者の事故やトラブルも勿論ですが、それよりも早めの弁護士への相談や対応が必要となるのが、労務問題、労働トラブルです。
例えば次のようなケースが典型的です。
デイサービスで相談員として働いていたAさん。普段から熱心に運営に関わり、ご利用者のために詳細に記録を付け、レクリエーションで作る工作の準備などに余念がなかった。他の職員が皆帰る中、Aさんはいつも遅くまで残業。夜8時、9時まで残ることもざらだった。しかしAさんはこの仕事にやり甲斐を感じており、自分から買って出た仕事なので不満も出なかった。
ところが次年度になり、上司である課長が交代した。新しい課長とAさんは相性が合わず、課長は残業をできるだけカットし余計な仕事は極力しない様に指示。これに反発したAさんは、課長の指示にも拘わらず残業を続けた。
課長は止むを得ずAさんに異動を命じた。するとAさんは「辞めろってことですか?」と怒り、課長の返答を待たず席を蹴って退席してしまった。
それから10日後、突然Aさんの代理人を名乗る弁護士から内容証明郵便が届いた。そこにはこれまでの残業代プラス割増賃金をすぐ支払うようにとの要請と、本件は不当解雇であり無効を主張するとの断固たる申立てが書かれていた…
いかがでしょうか。典型的なトラブルですが、労働問題はその殆どが「継続的な人間関係」から派生します。本ケースも、Aさんを管理する立場としてはできるだけ早い段階でAさんに残業を控える様指導し、その都度記録を付けておくべきでした。また、具体的に何をしてほしいかも極力詳細に指示する必要があります。
そのような、できるだけ初期の段階で弁護士に相談し実際にAさんや関係者と話し合っていく形で介入していくことが理想です。トラブルを「解決」するのではなく「予防」するという意識で取り組むことが大切です。