派遣社員・紹介会社の職員を配置する際の注意点

介護労働安定センターによる介護労働実態調査等によると、介護現場における人材不足は年々深刻化しつつあります。そのため、急場をしのぐために派遣サービスを利用したり、立地条件が悪い等の理由で、募集をかけても中々新規職員を採用できない事業所は、紹介サービスを使ったりすることも増えてきているのではないでしょうか。

常に人手不足のリスクに晒されている介護業界において、派遣会社は強い味方です。また、制度上必須となる人員配置基準違反だけは避けなければなりません。そのために、時給の二倍近くの人件費を払ってでも派遣を利用するということは自然な判断です。本コラムでは、派遣会社、紹介会社に依頼して人材を確保する場合におけるリスク、注意事項、トラブル予防のために必要なことを解説いたします。

 

介護は慢性的な人手不足

 

事業所側で発生する可能性のあるリスク

人手が足りないことで発生する人員配置基準違反だけは避けたい。

そういう気持ちで派遣会社、紹介会社を頼ることは悪いことではありません。しかし、自社で採用する従業員と異なり、働いていただく中で事業所側が負うリスクというものがあります。「渡りに船」とばかりに焦って契約すると、

 

・派遣職員が毎回遅刻する。

・派遣職員のやる気が無く、周囲の職員に悪影響を及ぼす

・派遣職員のマナーが悪く、ご利用者やご家族に悪印象

・派遣職員が突然来なくなり、音信不通になってしまった

・派遣職員がご利用者を虐待した

 

等のトラブルに見舞われ「こんなはずじゃなかった…」と後悔をするかもしれません。派遣会社を経由している場合、簡単に職員の変更ができない等のリスクも十分に抱えています。

派遣・紹介会社を利用するうえでは、しっかりと利用に伴うリスクやポイントをおさえておくことが重要です。

 

派遣・紹介会社を使うリスク

 

派遣会社利用でこんな勘違いをしていませんか?

派遣会社を利用するうえでは、介護施設側でも法的な側面を含めて十分に理解をしておく必要があります。ここではなかでもトラブルに発展しやすく、介護事業所の方には必ず知っておいていただきたい3つの注意点をお伝えします。

 

派遣職員には介護施設の就業規則が適用されない

例えば派遣職員が派遣先の施設でご利用者を虐待してしまい、或いは不適切な対応によりクレームとなったような場合についてです。派遣職員は飽くまで派遣元(派遣サービス業者)と雇用契約関係にあるため、派遣元の就業規則が適用されることになります。そして、懲戒処分等も派遣元でなければ下すことができません。

 

派遣職員には介護施設の就業規則が適用されない

 

派遣職員の交代は簡単にはできない

派遣職員が明らかに問題となる事件を起こした場合は交代もスムーズにいくかもしれませんが、苦情を申し出たとしても派遣元が交代等の対応をしてくれない可能性が高いです。

 

派遣職員の交代は簡単にはできない

 

派遣職員への指導がハラスメントに繋がることも…

派遣職員をその場で注意・指導することも多々あることと思います。いわゆるパワハラ(パワーハラスメント)は、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であり、業務上必要かつ相当な範囲を超えたもので精神的・身体的苦痛を与えるもの」です。派遣先による派遣職員へのパワハラが成立し得ますので、パワハラ問題にならないよう注意が必要です。

 

派遣職員への指導がハラスメントに繋がることも

 

トラブルを防ぐために必要な対応は?

上記のような注意点があるなかでも、介護施設側で対応方法が分かっていれば防げるトラブルも数多くあります。ここでは上記のようなトラブルを起こさないために必要な対応を一部抜粋して解説いたします。

 

派遣会社との契約内容をしっかりとチェックする

派遣元と派遣契約を締結する前に契約書内容のよく確認をしてください。施設において求める最低限の能力や接遇スキルを十分に説明します。そのうえで派遣職員の能力が不十分であった場合には他の職員を代替派遣してもらうことで派遣職員の交代もしやすくなり、結果として事業所の安定した経営に繋がります。

 

派遣会社との契約内容をしっかりとチェックする

 

派遣職員の問題は派遣元の会社に相談する

派遣職員への指導によってハラスメント等の問題となるリスクを考慮すると、派遣職員への直接的な指導ではなく派遣元へクレームが行くことを伝える形が効果的です。派遣職員へストレートに言うことは程度問題でもありますが、法律関係に照らすと適切ではなく、控えた方が無難でしょう。相手が指示に従わないからといって、躍起になって注意指導を繰り返さず、すぐ派遣元に連絡しましょう。

 

派遣職員の問題は派遣元の会社に相談する

 

責任の所在については派遣元の会社と十分に話し合い行う

派遣職員がご利用者様に損害を与えてしまった場合等、責任の所在が明確でないことについてはケースごとでの話し合いが必要です。各問題について状況等を整理したうえで、派遣会社・派遣先の施設の責任の所在を明らかにしていく必要があります。

 

当事務所でサポートできること

当事務所では介護・福祉・医療の経営者様に向けて、上記のような派遣・紹介関連のトラブル対応に向けた随時のアドバイスはもちろん、事業所経営に関するサポートを行っております。

この業界は完全な労働集約型産業である以上、労務問題は日常的に起こります。ところが、各事業所につき法令上はまだパワハラの予防措置程度しか義務化されていないため、労務問題対策は法人ごとに差が付きやすいポイントでもあります。

施設・事業所としてしっかりと対策を講じておくことで良い職員が定着し、結果として離職率も低下し、安定した経営を実現することが可能です。

 

就業規則等のチェック・アドバイス

現場の和を維持する要となる「遵守事項」と「懲戒処分」規定、また近年急増しているうつ病による休職対策としての「休職規定」の見直しを中心に、これまで経験した事例を元に実践的な改定のチェック・アドバイスを致します。

 

労務知識に関する内部研修講師

介護現場はアットホームな雰囲気が魅力ですが、皮肉なことに家庭的な雰囲気に終始し友達感覚、ボランティア感覚に浸ってしまうと、いざというとき適切に労務問題を処理できません。法律と介護は「水と油」の関係のようなところがあります。やはり大元が雇用契約という法律関係である以上、雇用主・労働者として相互に担う義務と権利を確認しておかなければ、秩序を維持できないでしょう。年間80件近くのセミナー講師業を請け負う当事務所の代表弁護士が、貴法人のために特別に最も効果的な内部研修のプログラムを組み、現場職員の法令遵守の意識を向上させます。

 

問題職員への対応

当事務所では、多種多様な問題職員に関するご相談を受け、解決して参りました。その豊富な経験に基づき、現場に悪影響を及ぼす問題職員への実践的対策法についてアドバイス致します。戒告通知書の作成代行、相手方との面談の同席、法人の代理人として相手方との交渉や、労働訴訟の被告代理人としての対応まで網羅的にお引き受けします。

派遣や紹介は、人材不足の逼迫した昨今においてほぼ必須のサービスといえますが、利用料金が高く、また関係が複雑化するためトラブルも泥沼化しやすいという特徴があります。

「こちらの足元を見て、高額の費用を吹っ掛けられた…」といった悔しい思い、嫌な思いをせずに済むよう、「良い人材を紹介して貰えてよかった!」と思えるよう、介護弁護士のノウハウをご活用ください。

いつでも何度でも、気兼ねなくご相談頂ける顧問契約サービスもご検討ください。

 

顧問弁護士として介護・福祉現場を支えます

当事務所は介護・福祉現場でトラブルが発生した際に、解決するために弁護士として対応することができます。依頼者のお話をうかがい、着実に解決させるよう取り組みます。

しかしながら、「トラブルが発生する前に対処したい」とか「トラブルが発生してもすぐに解決したい」と誰でも思うはずです。

介護・福祉は現場を止めることはできません。円滑なサービス提供をし続けないとご利用者の生命、健康を害してしまいます。

トラブル対応で現場が止まってしまうことは、当事務所としては望んでいません。

これまで数々の介護・福祉におけるトラブル現場を見てきましたが、トラブルが起こってからではダメージが大きくなる場合もありました。

そこで、当事務所としては「顧問弁護士」という役割で関与させていただくことをご提案しております。

詳しくは「顧問弁護士の説明」ページをご覧ください。下記ボタンよりお進みいただくことも可能です。

顧問契約を急に決めることに躊躇する場合もあると思います。

代表である外岡の人となり、コミュニケーション相性、実力を確認してから考えたいという方もいらっしゃると思います。その場合は【無料ご相談】も承りますので、お気軽にお問い合わせください。

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