BCP策定に向けて介護事業所が行うべきこと -デイサービス・ショートステイ・訪問介護編-

BCP策定に向けて実施すべきこと

「大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、

重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画」として介護事業所に求められているBCP策定。

 

本記事では、介護事業所様のなかでも“デイサービス”・“ショートステイ”・“訪問介護”に特化して意識いただきたいポイントについて整理いたします。

 

デイサービスで意識すべきポイント

デイサービスにてBCP策定の準備を進めていくうえで最も重要になるのは

「一時休止する条件を決め、そのとおり動くこと」「ご利用者の命を一人でも多く助けること・お泊り機能を高めること」です。

上記を実現するために必要な対応・ポイントについて解説します。

 

① 一時休止する条件を決め、そのとおり動くこと

これまでも何度か一時休止に踏み切った事業所も多いことと思いますが、いざというときは保健所も保険者も指示をしてくれず、最後は自分たちで判断しなければなりません。

そのため、具体的にどのような条件下で休止(受け入れ停止)するかを決めておく必要があります。例えば「ご利用者、職員問わず陽性者が一人でも出たら10日間は休止する」等が考えられますが、ある程度幅を設けても良いので判断基準を作り、できればこれをご利用者ご家族、ケアマネ等の関係者にも事前に周知し理解を得ておくことが効果的です。

悩ましいのは、住宅型有料やサ高住等とセットとなっている場合(ビル1階がデイ、二階以上は居室の形態)ですが、この場合は責任をもってご利用者に代替サービスを提供できるよう努めなければなりません。外部事業所との提携や、訪問リハビリ等の訪問サービス等をケアマネージャーと共に検討しておきます。

 

② ご利用者の命を一人でも多く助けること、お泊り機能を高めること

サービス提供時間帯に被災した場合は、施設と同様に避難計画に沿って避難等の然るべき安全措置を講じます。問題は帰宅不能になった場合ですが、やむを得ずデイに泊って頂く状況が想定されます。普段お泊りをしていないデイは、布団や毛布、枕、予備のタオルや非常食等を用意できると良いでしょう。

サービス提供日以外の休日に発生した場合でも、できる限りご利用者の安否確認やケアマネの活動に協力したいものです。在宅におけるBCPはケアマネを中心として多職種、多事業所が連携しなければご利用者をスムーズに避難所に誘導しケアを提供することができません。最低限、例えば管理者はケアマネからの連絡に応答できるような体制を土日においても構築できると良いでしょう。

 

ショートステイで意識すべきポイント

ショートステイにてBCP策定の準備を進めていくうえで最も重要になるのは

「不用意に帰宅させ感染を拡大させないこと」「ご利用者の命を一人でも多く助けること・3~7日間分の食料、消耗品等を備蓄しておくこと」です。上記を実現するために必要な対応・ポイントについて解説します。

 

① 不用意に帰宅させ感染を拡大させないこと

ショートは、定住型の施設と異なり回転率が高い(人の出入りが多い)という特徴があり、その特徴に合わせた感染BCPを作る必要があります。例えばある日の午前中に感染疑いのご利用者が現れたとき、同じフロアに居た別のご利用者を午後に帰宅させることは問題ないでしょうか。感染疑いの方が一人であれば帰してしまって良いかもしれませんが、これが2、3人となるとどうでしょう。このように、何名の利用者(職員)が、どのような状態になったらクラスターと認定するのか、また人の出入りを封鎖するのかといった諸条件をまず検討し、幾つかのシナリオを準備しておくと良いでしょう。

 

② ご利用者の命を一人でも多く助けること、3~7日間分の食料、消耗品等を備蓄しておくこと

施設と同様ですが、長期滞在を想定していないため物資の備蓄が手薄かもしれません。地震等で数日帰宅不能となることも考えられ、大規模災害を想定した備蓄を見直しましょう。

 

 

訪問介護・看護、福祉用具で意識すべきポイント

訪問介護にてBCP策定の準備を進めていくうえで最も重要になるのは

「訪問や稼働を中止する条件を決め、慎重に判断すること」「担当するご利用者の命を助けること・ケアマネと連携して避難誘導すること」です。上記を実現するために必要な対応・ポイントについて解説します。

 

① 訪問や稼働を中止する条件を決め、慎重に判断すること

これはケアマネと同様ですが、コロナに関しては、BCPを検討・発動するまでもなく、既に日々何かしらの判断や対応を余儀なくされていることと思います。例えば「担当するご利用者の同居家族が陽性となった。明日モニタリングを予定していたが延期するか否か」等。正解はありませんが、もしこのご家族がご利用者と濃厚接触している可能性が高いようであれば訪問は見送ることが無難といえます。

そのようなケースを網羅的に検討することは不可能ですが、正直、在宅のケアマネや訪問系事業所が感染対策のBCPを作り込むことはあまり効果がないものと見ています。最低限、施設のように、例えば3名の事業所であれば「3名全員が陽性となり活動できなくなったときどうするか?」といった限界事例を決め、多事業所への引き継ぎやリモートワークの導入等を検討しておけば足りるでしょう。

それよりもコロナ関連でケアマネに託された重要業務は、日々発生するヘルパーやデイでの感染発生の知らせを受け、いかに代替する事業所を探し切れ目のないサービスを継続していくかという点です。日頃から特定の事業所に偏ることなく、広く多様な事業所とよい関係を構築するよう心がけることが、リスクマネジメントに繋がります。

 

② 担当するご利用者の命を助けること ケアマネと連携して避難誘導すること

前述の通り、非常時においては速やかな連携と協同が重要となります。各事業所が別々に、一人のご利用者の個別避難計画等を作成しても却って混乱してしまいますね。もっとも、諸事情によりどうしても中核となるケアマネが居ないといった場合には、ヘルパーステーションとして担当ご利用者の個別避難計画を検討する必要もあろうかと思われます。協同が理想ですが、最後は自分で何とかするという気概が重要です。

 

BCP策定にお困りの方は介護業に精通した弁護士にご相談ください

上記のように、BCP策定の対応に向けてはポイントを抑えたうえで的確な対応が必要になります。現状全貌が明らかになっていない部分が多い分野でもありますので、実践的なBCPを策定するために当事務所にてサポートが可能です。先の見えづらい不透明な世界ですので、介護トラブル専門家のアドバイスを是非ご活用ください。

 

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