BCP策定に向けて介護事業所が行うべきこと -介護施設編-

BCP策定に向けて実施すべきこと

「大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、

重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画」として介護事業所に求められているBCP策定。

 

本記事では、介護事業所様のなかでも“グループホームを含めた介護施設”に特化して意識いただきたいポイントについて整理いたします。

 

介護施設が意識すべきポイント

介護施設がBCP策定の準備を進めていくうえで最も重要になるのは

「ご利用者の命を一人でも多く繋ぐこと」「ご利用者の命を一人でも多く助けること」です。

上記を実現するために必要な対応・ポイントについて解説します。

 

 

① ご利用者の命を一人でも多く繋ぐこと

クラスターが起きると隔離(ゾーニング)を行い、速やかに順次医療機関へ搬送することが理想です。しかし感染拡大期は他所でも同じ事態になるため、病院に移ることは期待しない方が良いでしょう。同様に外部からの応援(職員補充)も、同一法人でも無い限り期待できません。もちろん、諦めずに平時から地元の医療機関等と協議連携しいざというときに備え協定を締結する等の事前策は可能な限り講じるべきですが、最後に頼れるのは自分自身であると自覚し、他力本願にならないことが大切です。

そうなると現実には、「いかに施設内で感染したご利用者にケアを提供し続けるか」が課題となります。ポイントは最低限必要となるケアを見極め、0ベースから出発する意識で計画を立てることです。すなわち、痰吸引が必要な方であれば吸引、胃ろうや経鼻経管栄養であればチューブ類の交換や維持管理、寝たきりの方であれば栄養補給とおむつ交換など、ご利用者ごとに「これを止めたら死んでしまう」というケアを洗い出し、極論職員が一人でも何とか全員にそのケアを提供できる体制を考えてみます。実際には本当に一人ということは無いかもしれませんが、非現実的とならない範囲で、できる限り厳しい条件(感染した職員が感染ご利用者をケアする等)を設定することが効果的です。そこからどうするかを必死で考え抜くことで、非常事態における対応力が鍛えられていきます。

職員自身が感染しないための対策として、例えばN95マスクや防護服、ゴーグル等を着用します。平時には着脱の訓練等を行っておきます。

その他検討事項は多岐に渡りますが、詳細はユーチューブの無料動画解説をご覧ください。

https://youtu.be/kIShs0V1PaQ

 

 

② ご利用者の命を一人でも多く助けること

災害は、時間的猶予がある台風や増水被害と、突発的に起こる地震や噴火等に大別されますが、前者であればいつ、いかなるタイミングで避難を開始するかを決めておくことが肝要です。避難が遅れてご利用者が命を落とすことを思えば、急ぎすぎる位がちょうど良いといえるでしょう。

大地震等の場合は、とっさに取る行動とその後の避難等を決めることになりますが、これは従来の避難計画・訓練でできている部分かと思います。

避難経路や方法も、次善策を複数考えておきましょう。例えば水害の場合、避難場所が既に浸水しており使えないということがあるかもしれません。そのようなときはBプランとしてどこに避難するかといったことを、想像力を働かせ考えていきます。また水害の場合一時的に施設が孤立し、外部から職員等が応援に行けないという状況が生じます。残された職員だけで数十名のご利用者を避難させることができるのか、といったシビアな条件で再考するということも良い訓練になります。

 

BCPはその後の計画が重要であり、まず計画を立てる以上「目標」を定めなければなりません。具体的には、「ライフライン(電気、ガス、水道)の復旧目処である被災後72時間経過時点では、通常業務の30パーセントを実施できている」「被災後10日後には、通常業務の100パーセントを実施できている」といった理想(目標)を先に決めてしまい、そこから逆算して状況と時機に応じやるべきことを決め現場レベルにまで落とし込んでいく、という作業になります。

BCPは一度完成させて終わりではなく、ケアプランと同じでPDCAサイクルを回し改善し続けなければ意味がありません。一度経験することで、当初立てた目標やタスクが適正であったか否かが分かり、改善点もはっきりすることと思います。「鉄は熱いうちに打て」と言いますが、危難が去ったらすぐに見直しに取り掛かりましょう。

 

社会福祉法人は「福祉避難所」に指定されていないかチェック

福祉避難所とは災害の際に一般の避難所では生活に支障をきたす高齢者や障害者、妊婦ら(「要配慮者」という)が過ごす避難所を意味しますが、これに指定されている特養等の施設は、要配慮者の円滑な利用の確保、要配慮者が相談し、又は助言その他の支援を受けることができる体制の整備その他の要配慮者の良好な生活環境の確保に資する事項について内閣府令で定める基準に適合するものであること(災害対策基本法施行令第20条の6第5号)が求められています。

通常は学校や公民館が指定されるかと思いますが、万が一「自分たちの複合型施設が福祉避難所に指定されていた…」といった事実が明らかとなりましたら、一時的に妊婦など特に感染リスクの高い方々が集まるという事態に備えなければなりません。場合によっては避難所で出産するということもあるでしょう。避難し人が集まればクラスターも発生しかねません。地域の要となる法人は地域住民のサポートベースとなるところ、複合災害まで想定した盤石な準備をしておきたいものです。

 

BCP策定にお困りの方は介護業に精通した弁護士にご相談ください

上記のように、BCP策定の対応に向けてはポイントを抑えたうえで的確な対応が必要になります。現状全貌が明らかになっていない部分が多い分野でもありますので、実践的なBCPを策定するために当事務所にてサポートが可能です。先の見えづらい不透明な世界ですので、介護トラブル専門家のアドバイスを是非ご活用ください。

 

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