
目次
「保証人を2名にしてほしい」と言われたら、断っていいのか
おかげさまです、外岡です。
介護施設の入居契約では、利用者やご家族から「こうしてほしい」という申し出を受けることがあります。その申し出が善意からくるものであっても、施設の運営実態に合わない条件を受け入れてしまえば、後々の対応に支障をきたすことがあります。今回は、保証人の人数をめぐる実際の相談事例をもとに、施設側がどこまで契約条件を主張できるのかを整理します。
「夫婦それぞれに別の保証人を立てたい」という申し出
当事務所の顧問先である介護施設の担当者様から、こんなご相談がありました。
現在入居中のA様ご夫妻については、奥様の姪御様が身元引受人(兼連帯保証人)となっています。ご主人様からは、「奥様側の親族が保証人だと、いざというとき遠慮して判断しづらい場面が生じるのではないか。自分については別途、保証人を立てたい」とのご意向が示されたといいます。
施設側としては、保証人が複数になることで連絡調整が煩雑になる、意思決定が遅れる、責任の所在が曖昧になるといった懸念がありました。できれば保証人は1名に限定したいところ、しかし現行の契約書には「保証人は1名に限る」という明記がありません。果たして断ることはできるのか――というご相談でした。

断ることに、法的な問題はない
結論から申し上げると、保証人を1名に限定する運用としてお断りすることに、法的な問題はありません。

入居契約は民間の契約であり、保証人の人数や要件は施設側が契約条件として定めることができます。契約書に明記がなかったとしても、運営方針として「保証人は1名のみ」という条件を提示し、2名とすることを断ることは、合理的な理由がある限り認められます。保証人が複数いることで生じる連絡調整の煩雑化や意思決定の遅延は、施設運営上の現実的なリスクであり、それを避けようとする判断は十分に合理的です。
ご担当者様の「契約書に書いていないから断れないかもしれない」というご不安はよくわかります。しかし、契約書に書かれていないことが即ち「何でも受け入れなければならない」ということにはなりません。施設側にも契約条件を設定する権限があることを、自信を持って伝えていただいて構いません。
「人数」ではなく、その背景にある不安に向き合う
ただ、今回のご相談で私が気になったのは、ご主人様がおっしゃった「遠慮して判断しづらい場面」という言葉でした。
これは単なる手続き上の希望ではなく、いざというときの意思決定への不安が背景にあるように思われます。特に、延命治療など終末期に関わる判断の場面では、保証人が誰であるかによって「言いにくい」と感じるご家族は少なくありません。
そうした不安は、保証人を増やすことでは解決しません。むしろ事前に関係者が集まり、本人・ご家族・施設スタッフが「いざというときにどうするか」を話し合うACP(アドバンス・ケア・プランニング)を開催することで、具体的な見通しを共有しておく方が、はるかに本質的な対応になります。
「断る」という判断は正しいです。しかしその上で、ご主人様の言葉の奥にある懸念にも丁寧に向き合うことが、信頼関係を守ることにつながります。それが、顧問弁護士であり介護弁護士でもある私がお伝えしたかったことです。

介護弁護士が忙しい現場の皆様のお悩みを解決します!
弁護士法人おかげさまは、2009年の開設以来、介護福祉特化の弁護士法人として、
全国の顧問先様をはじめとする介護福祉現場をご支援をして参りました。
当事務所に所属する弁護士は介護福祉の領域に特化しておりますので、
形式的な法律論だけでなく、現場の事情や当事者の心の動きにまで精通しております。
そのような業界に特化した知見とキャリアに基づき、通常の弁護士にとっては難問となる
ケースでも即座に最適な対応法、解決法をアドバイスすることが可能です。
個別の案件ごとにご相談頂くことも勿論可能ですが、「転ばぬ先の杖」として
顧問弁護士というサービスをご利用頂くことをお薦めしております。
詳細についてはこちらのページをご覧ください。
しかし、全体向けのご案内をみても「本当に自分たちの組織や現場に適しているか」
「弁護士に相談するようなことはそんなにないんだけど、どういった活用法があるのか」
といった不安やお悩みも出て来ることと思います。
そこで当事務所では、顧問契約に関して弁護士が対面でご説明し、お客様のお悩み
の解決に向け一緒に考える無料面談の機会をご提供しております。
「介護弁護士って普通の弁護士とどう違うの?」
「顧問弁護士はどういうサポートをしてくれるの?」
「利用者や家族との問題だけでなく、労務も相談できる?」
気になることは何でもお答えします。
少しでも気になりましたらぜひお気軽に、以下のボタンからご予約ください。

弁護士外岡 潤
弁護士法人おかげさま 代表弁護士(第二東京弁護士会所属)
2003年東京大学法学部卒業後、2005年司法試験合格。大手渉外事務所勤務を経て2009年に法律事務所おかげさまを開設。開設当初より介護・福祉特化の「介護弁護士」として事業所の支援を実施。2022年に弁護士法人おかげさまを設立。
ホームヘルパー2級、視覚ガイドヘルパー、保育士、レクリエーション検定2級の資格を保有。











