【ミニコラム】3カ月以上通所の無い利用者と円満に契約終了するための契約書の作り方

カテゴリ
【ミニコラム】おかげさま事件簿
(解決事例集)
公開日
2026.07.06
3カ月以上通所の無い利用者と円満に契約終了するための契約書の作り方

3カ月以上通所の無い利用者と円満に契約終了するための契約書の作り方

介護事業所や通所サービスを運営する中で、経営者を悩ませる「幽霊利用者」の問題。契約は続いているものの、何らかの理由をつけて何ヶ月も利用がない状態です。

「足が痛いから」「気分が乗らないから」……。理由は様々ですが、事業所としてはスタッフの配置や枠を確保し続けなければならず、新しい希望者を受け入れられないというジレンマに陥ります。今回は、こうした状況を法的に解決するための「契約解除条項」の書き方について、ある相談事例をもとに解説します。

3ヶ月以上通所しない利用者を解除したいデイサービス

顧問先であるデイサービスの管理者Aさんからご相談がありました。

「3ヶ月以上通所しなかったら、自動的に契約を解除できるルールを作りたいのです。枠が埋まってしまっていて、本当に利用したい方を断るのが心苦しくて……」

「足が痛いとか、今日は体調がすぐれないと言って突然通所士無くなる方がいて、そういう方でも3カ月以上通所が無ければ解除にしたいです。」

「契約書の中にその旨を書きたいですが、どのように書けばいいでしょうか?」

3ヶ月以上の通所無しで自動解除したいが・・・

その気持ちは痛いほど分かります。たとえ利用が無くとも契約が残っていると「通所するかもしれない」という認識は常に持っておかなくてはいけません。通所するとなれば対応せねばならないところ、長く通所が無い場合は、そこまで余裕を持った対応は難しいのは当然です。経営面で考えれば定期的に通所する方を優先したいところ、突然通所となって定員オーバーになるリスクを考えれば契約解除を考えるのも無理はありません。

しかし、福祉サービスにおいて「通所がないから即解除」というドライな対応は、法的なリスクを伴います。特に介護保険制度下のサービスでは、利用者の権利保護が重視されるため、事業所側の都合だけで一方的に、かつ機械的に契約を終わらせることは「不当なサービスの停止」とみなされる恐れがあるのです。

やるべき手続きを踏んだうえで解除するプロセスが重要 大切なのは、「やるべき手続きを踏んだ上で解除する」というプロセスを明文化しておくことです。

弁護士が推奨する契約書の改変の仕方

では、具体的にどのような条項を契約書に盛り込むべきでしょうか。単に「3ヶ月利用がない場合は解除する」と書くのではなく、以下の要素を盛り込むことをお勧めします。

「利用者が正当な理由なく継続して3ヶ月以上本サービスを利用しない場合において、事業者が利用継続の意思確認を行い、利用再開の見込みがないと判断したときは、事業者は30日前までに利用者に通知することで本契約を終了することができます。」

入院や体調悪化など、やむを得ない事情がある場合を切り離し、悪質な通所拒否や意図的な拒否に絞ります。いきなり切るのではなく、「どうされますか?」というコミュニケーションを挟むことを義務付けます。これが事業所側の誠実な対応の証拠になり、万一の際の安心材料となります。不意打ちを避け、利用者側に再考や他サービスへの切り替えの猶予を与えることでソフトランディングしやすくなります。

「どうされますか?」と聞く段取りをいれること

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この記事を書いた人
代表弁護士 外岡潤

弁護士外岡 潤そとおか じゅん

弁護士法人おかげさま 代表弁護士(第二東京弁護士会所属)

2003年東京大学法学部卒業後、2005年司法試験合格。大手渉外事務所勤務を経て2009年に法律事務所おかげさまを開設。開設当初より介護・福祉特化の「介護弁護士」として事業所の支援を実施。2022年に弁護士法人おかげさまを設立。

ホームヘルパー2級、視覚ガイドヘルパー、保育士、レクリエーション検定2級の資格を保有。

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