
それ、身体拘束の3要件を満たしていますか?
介護福祉業界において、身体拘束、虐待、転倒事故は常に注意しなければいけないキーワードです。1つの事故、ミスが経営の命取りになりかねませんが、これらは常に現場で発生する問題であるため、経営者が目を光らせていても見抜けなかったり、見落としたりすることがあります。現場職員の安易な考えや行動が、時に大きな問題へ発展することもあります。
そのようなことの無いよう、今回は訪問看護事業所の看護師による事例をもとに、身体拘束実施時に必要な確認事項と対応策について解説します。
訪問看護事業所の経営者からの相談です。
認知症でほぼ寝たきりの患者(80代、女性)がベッドから落ちる危険性がありました。夫(80代)と同居していましたが、その夫はややネグレクト傾向があり、妻がベッドから転落することに警戒する様子はありません。
ある日、看護師が訪問した際、患者がベッドから転落していました。夫は別室でこもっており気づいていません。看護師は患者をベッドへ寝かせ、3点柵のベッドを壁付けして塞ぎました。
その後、経営者がこの看護師の報告書を見て「これは安易に身体拘束をしてしまっているのではないか」と思い、顧問弁護士である当事務所へ判断と対応の相談が来ました。

「3要件」を職員が理解していないと安易な身体拘束が発生する
今回の看護師の対応は「切迫性・一時性・非代替性」の3要素を満たしていないと判断されれば身体拘束に該当し虐待であると評価されてしまいます。
3点柵ベッドを壁付けすることで出入口が無くなり、認知症でほぼ寝たきりの患者はベッドから出ようにも出られなくなります。自力で脱出できる状態であれば身体拘束になりませんので、本来はすぐに壁付けにせず、患者がベッドから転落せず安全を確保する方法を検討するのが最善策だったといえるでしょう。

今回のご相談内容については、ケアマネ、福祉用具相談員に呼びかけて現地検証、カンファレンスなどを試み、結論として身体拘束の状態が続くようであれば、やむを得ず虐待として地域包括支援センターに報告することになります。念のためこれらの活動、会議の議事録などは記録を残しておき、行動の正当性を疑問視された場合の説明材料にできるようにすることをアドバイスしました。
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弁護士外岡 潤
弁護士法人おかげさま 代表弁護士(第二東京弁護士会所属)
2003年東京大学法学部卒業後、2005年司法試験合格。大手渉外事務所勤務を経て2009年に法律事務所おかげさまを開設。開設当初より介護・福祉特化の「介護弁護士」として事業所の支援を実施。2022年に弁護士法人おかげさまを設立。
ホームヘルパー2級、視覚ガイドヘルパー、保育士、レクリエーション検定2級の資格を保有。











