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借金を抱えて督促状が施設に届く入所者 施設としてどこまで介入して良いの?
施設入所する方にもそれまでの人生があります。これまでの人生の中で借金を抱えてしまい、その後施設入所になってしまっても借金はついて回ります。借りたお金は返さなければいけないものですが、その督促が施設にまで来てしまうと、施設側としては困ってしまいます。人のお金の話にどこまで関わっていいのか、悩ましいのは当然でしょう。その利用者が認知症気味であれば猶更です。
今回は、とある施設入所者に届く督促状をめぐって、施設はどのようにサポートすることができるか、サポートすべきかを解説します。
施設に届いた入所者の督促
特養に入所中のAさんは、これまで多くの借金を抱えていました。Aさんは要介護5、普段のコミュニケーションはかろうじて出来ますが、単身では生活できない状態です。数か月前に家族と同居するようになりましたが、関係がうまくいかずこの度特養に入所することになりました。
在宅時代は、入所までに作った借金の督促状が実家に届き、同居の家族が呆れて困っていました。そして入所後は、その家族が督促状を施設へ転送するようになったのです。
それだけではなく、簡易裁判所からの判決文まで届く始末。
送られてくる督促状や書類に困った施設ですが、
「Aさんのことを支援したいけど、お金に関わることなので、どこまで関与して良いのか分からない。」
「このまま放置するとどうなるのか?施設に責任は及ばないか?」というご相談をいただきました。
サポートするなら中立の立場をとりながら
まずこのまま何もせず放置するとどうなるか…という点については、「特に何も問題は起きない」という答えになります。債権者としては、債務者の財産を把握していない限り特に何もできません。判決文は届きましたが、その後強制執行をする際に不動産や車等の目ぼしい財産を債権者が把握していなければ執行段階に進むこともありません。従って、今の状況を放置したからといってAさんの居室に債権者や裁判所職員が押しかけるといった事態になったり、施設に責任が及ぶことは考えにくいとお伝えしました。
もっとも、今後Aさんが亡くなり相続が発生する等面倒な事態になった場合、ご家族にとっても良くないのは明らかなので、あくまでも施設は中立な立場で出来る範囲でサポートするのが良いとアドバイスも加えました。
Aさんは普段のコミュニケーションはとれる状態であることから、後見人を付ける必要までは無いと思われます。そこで今回の場合は債務整理を専門とする弁護士に相談、委任しまとめて対応してもらうようアドバイスしました。Aさんが一人で相談を予約し相談に行くことは難しいと思われたので、施設の方でサポートし付き添うこと等をご提案しました。この辺りが、施設は飽くまで中立な立場でなければならないため難しいところですが、ご利用者の権利擁護活動の一環として適宜サポートすることは問題ないものと考えます。

介護弁護士は相手の立場になってアドバイスします
今回、ご利用者の後々の相続のことまで考慮して「サポートするなら中立な立場で行うのが良い」とアドバイスしました。債権者は債務者の財産状況を知らなければ何もできないので、「特に何もしなくても責任問題にはならない。放っておけばよい」とアドバイスすることもできます。しかし当事務所の介護弁護士は、施設とAさんの後々のこと等さまざまなことを考慮した上で最善と思われる方法をご提案します。手前味噌ではありますが、この考え方や視点が介護弁護士ならではであると自負しております。
介護弁護士を顧問弁護士にすることで、先々まで見据えたアドバイスを得られるというメリットがあります。既に顧問弁護士との契約があったとしても、介護現場のトラブル予防、トラブル解決係の「セカンドオピニオン弁護士」としてご活用いただくことも可能です。
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弁護士外岡 潤
弁護士法人おかげさま 代表弁護士(第二東京弁護士会所属)
2003年東京大学法学部卒業後、2005年司法試験合格。大手渉外事務所勤務を経て2009年に法律事務所おかげさまを開設。開設当初より介護・福祉特化の「介護弁護士」として事業所の支援を実施。2022年に弁護士法人おかげさまを設立。
ホームヘルパー2級、視覚ガイドヘルパー、保育士、レクリエーション検定2級の資格を保有。











