【ミニコラム】強引な売り込み業者を撃退する方法

カテゴリ
おかげさま事件簿
(解決事例集)
公開日
2025.06.16
強引な売り込み業者を撃退する方法

強引、悪質な営業で自社商品やサービスを売りつける業者が増えています。特にリフォーム、電子機器などの高額かつある程度の専門知識が無いと適正な商品を選別できないようなもので悪質な営業が行われています。

高齢者を狙うものもあれば、法人を狙うものもあり、その手口も巧妙さ、過激さを増しています。

今回は、とあるクリニックで発生した悪質な会社からの執拗な売り込み事例を基に、これを撃退する方法について解説します。

東京電力を騙りまくし立てるように点検を迫るセールスマン

クリニックの診察時間中、受付に営業の電話がかかってきました。東京電力を名乗り、院長に代わるよう求めて来ました。診察中であり出られないことをお伝えし用件を聞くと「電気料金を安くするためのご提案なので絶対にお得です。詳しいご説明に伺いたいのですが、本日午後、よろしいでしょうか?」と迫ってきました。

かかってきた電話番号は「050」から始まるもので、電話をとった事務員は不審に思い、すぐさまインターネットで電話番号を検索しました。すると、東京電力を騙るものの、厳密には同グループとは関係のない営業会社であるという報告を発見したそうです。そこで事務員は「院長にも確認しましたが、そのようなご提案は必要ございません」とお断りしました。ところがその営業マンは

「これは大事な提案だからぜひ聞いて欲しい」

「東京電力から通知が先月送られている」

「東京電力が推し進めているプロジェクトだ」

等と言い、点検のための訪問を強く希望しました。

厚かましい態度に恐怖を感じた事務員は「当院としては必要無いので結構です」と答え、すぐ電話を切りました。そしてその電話番号を着信拒否登録しました。

しかし、後日。

前回とは異なる050の電話番号で同じ人物から電話がかかってきました。また同じように拒否しても、

「院長と話をする必要がある」

「院長でないと話が分からないから代わってほしい」

「東京電力からの大事なお知らせなんだ」

とまくし立てて引き下がりません。その時は、たまたま院長は一時的な外出中だったため「院長は外出中なので折り返すよう伝えます」と伝えたところ「弊社に登録のクリニックの固定電話の番号でないと対応できない」と答えたため営業電話であると確信し、事務員は着信拒否をしたそうです。

そして、数日後、また「050」から始まる電話番号からの電話が来ました。「まただ…」と思いながら事務員が出ると

「とにかく訪問したい」

「今からでも行けるから行って良いか」

「無料の点検だけで良いからやらせて欲しい」

と迫るように言ってきました。

一連の報告を受け、「もし業者が押しかけて来たら困る。どうしたら良いだろう」

と思った院長から当事務所にご連絡をいただきました。

悪質セールスは断固拒否の姿勢を入口で示す

今回のような営業電話は確実に悪質な営業会社といって良いでしょう。

まず東電のグループでも無いにも拘らず、あたかも東京電力の社員であるかの如く述べる行為は、いわゆる騙り商法(かたりしょうほう。販売員が職業を騙ったり、職業を暗示させるような言動や服装を用いたりして、商品を販売したり、役務提供契約を締結したりすること)に該当しこれ自体が詐欺となります。

また、営業電話で断られたにも関わらず勧誘を続けたり、時間を置いてから同じ内容の営業電話をかけたりする行為は、特定商取引法の法第17条によって禁止されています。しつこく引き下がらずに電話を続けることは、それ自体が違法行為となるのです。

通報・相談先としては最寄りの消費生活相談窓口を紹介してくれる消費者ホットライン「188」や警察相談専用電話「#9110」等がありますが、そうこうしている内に押しかけられても迷惑です。

そこで、すぐとるべき対策として「貼り紙」を提案しました。

A4一枚の紙に、院長名で端的に

「当院による事前許可や約束の無い訪問営業はお断りします。お引き取りいただけない場合は直ちに顧問弁護士と警察に通報します。」

と書いた紙を入口に貼り出しました。

ここまでしても無視して引き下がらない場合は、躊躇無く警察に連絡をしましょう。

訪問してきた相手に「お引き取りください」と伝えても引き下がらない場合は、不退去罪となります。業務妨害罪や脅迫罪も成立する可能性もあります。いずれにせよ明白な違法行為ですので警察に通報しても問題ありません。

「今のところ、そこまでは…けど不安が残る」というような場合は、まずは「魔除け」としてお札のように貼り紙を貼ることが良いでしょう。

顧問弁護士が魔除けになる

顧問弁護士は、何かあったときにすぐ相談できるだけでなく、存在自体が「魔除け」として機能します。例えば悪質なカスハラをする者に対しては、

「顧問弁護士に相談します」

「我々では対応しきれないので、顧問弁護士に対応してもらいます」

と伝えるだけでも相手を牽制し、それ以上のことを思いとどまらせる力があります。

また、実際に「これ以降の対応は顧問弁護士を通じてお願いします」と伝えることで、窓口を完全に引き継ぎ、以後相手と対峙せずに済みます。

顧問弁護士は問題が発生した時に対応する機能だけでなく、日頃からさまざまなシーンでトラブル回避に役立ちます。

当事務所は開設以来、介護・福祉分野に特化しており、様々なトラブル対応の実績がございます。出来るだけ細やかに対応できるよう、当事務所では顧問弁護士プランをご用意しております。顧問弁護士に関するご紹介ページもございますので、ぜひご覧ください。まだ顧問弁護士契約をされていない方で顧問契約を真剣にご検討頂いている方には20分無料のオンライン面談もご提供しておりますので、お気軽にお問合せください。

また、当事務所ではミニコラム以外にも一つのテーマを掘り下げた本格的なコラムを発信しております。こちらでは出来るだけ詳しく介護福祉において重要なテーマについての分かりやすい解説、対策法、考え方、事例などをお伝えしています。以下よりお進み頂きぜひご確認ください。

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この記事を書いた人
代表弁護士 外岡潤

弁護士外岡 潤そとおか じゅん

弁護士法人おかげさま 代表弁護士(第二東京弁護士会所属)

2003年東京大学法学部卒業後、2005年司法試験合格。大手渉外事務所勤務を経て2009年に法律事務所おかげさまを開設。開設当初より介護・福祉特化の「介護弁護士」として事業所の支援を実施。2022年に弁護士法人おかげさまを設立。

ホームヘルパー2級、視覚ガイドヘルパー、保育士、レクリエーション検定2級の資格を保有。

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