介護施設も被害に!?防犯カメラ映像が世界中で視聴されているかも…

カテゴリ
コンプライアンス
公開日
2025.12.26
介護施設も被害に?!防犯カメラ映像が世界中に視聴されているかも…

介護施設も被害に!?防犯カメラ映像が世界中で視聴されているかも…

介護・福祉事業所で防犯カメラを使用しているところは多いと思います。不審者対策としての来訪者の確認、事故防止やトラブル対応のための記録、室内の利用者、職員の動線をチェックするために活用したりするなど、その用途は様々です。

通常、録画された映像は事業所側で保存、活用するのが通常ですが、意図せずこの映像が外部に流出し、世界中の誰でも視聴できる状態になっているケースがあることが問題となっています。

今回は、防犯カメラ映像流出問題の概要とそのリスク、今から出来る対応策について解説します。

防犯カメラ映像が誰でも見られる状態に

「防犯カメラ映像が、誰でも見られるなんて本当なの!?」

そう感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、これは事実です。読売新聞の調査(記事はこちら)では、防犯カメラ映像が海外のウェブサイト上で自由に閲覧できる状態であり、人の顔が判別できるほどに鮮明な映像も含まれていたようです。中には、月間で300万回も閲覧されているサイトもあったようです。

映像の対象はオフィス、食品工場、介護施設、保育園など幅広くありましたが、中には一般家庭、集中治療室の映像もあったようです。

もちろんこれらは無断で掲載されており、撮影されている本人や事業者が知らない間に、世界中の誰かに見られていると考えたら恐怖を感じませんでしょうか?

映像が筒抜けの防犯カメラが存在する

流出状態が続くことで起きるリスクは?

① 法的リスク(個人情報・プライバシー)

防犯カメラ映像において、特定の個人が識別できる場合、その映像は個人情報に該当します。個人情報保護法では、事業者に対し、個人情報を安全に管理する義務(安全管理措置)や不正アクセスや漏えいを防止するための体制整備が求められています。

とりわけ介護施設においては、着替えや食事、睡眠といった、利用者の生活の中でも極めてプライベートな場面が映り込むことが少なくありません。そのため、一般的なオフィス等に設置される防犯カメラと比べても、より高度かつ慎重な管理体制が求められる分野であるといえます。

プライベートな場面が映ると深刻な問題に…

② 信頼の失墜

法的なリスクも問題ですが、そもそも防犯カメラ映像が海外サイトに流出しているという時点で、その事業者の信頼が大きく傷つくことになります。介護・福祉事業所の場合であればご利用者や家族、ケアマネからの信頼を失うことになります。最終的には選ばれない、お勧めできない事業所になってしまい、経営面でも大きな打撃を受けます。

着替え、食事、睡眠など生活の一部を覗き観られる不快感は、仕事中の姿を覗き見られるよりも被害者にとって大きなストレスになりかねません。

防犯カメラ映像が海外サイトに流出しているという時点で、その事業者の信頼が大きく傷つくことになります

なぜ防犯カメラの映像が流出してしまうのか?

防犯カメラ映像が流出する主な原因は、防犯カメラや関連機器の設定の「脆弱性」にあります。

脆弱性とは、システムや機器に存在する「弱点」のことです。これらの弱点が放置されていると、第三者からの不正アクセスを受けやすくなり、本来は内部でのみ管理されるべき映像が外部に流出してしまいます。

防犯カメラを設置する際、録画した映像をレコーダーやクラウドなどの外部の記録媒体に送信する設定を行います。しかし、この通信設定やアクセス制限に脆弱性が残っていると、外部から攻撃された際に、設定自体を書き換えられ、本来想定していない第三者にも録画した映像が公開されてしまうのです。

一般的には防犯カメラや記録メディアのメーカーは、こうした脆弱性を解消するため、更新プログラムを随時配信しています。しかし、ユーザー側でこの更新を行わなかった場合、脆弱性は解消されず、不正アクセスのリスクが残ったままになります。

また、そもそも防犯カメラを設置した際に、事業所側の設定ミスで映像データが流出する場合もあり得ます。例えば、録画映像を閲覧できる範囲設定を誤り、意図せず外部からアクセス可能な状態にしてしまっている場合や閲覧用のURLやID・パスワードを知っていれば、誰でも映像を見られる状態になっているといったケースです。

さらに、防犯カメラを設置した時の設定が初期設定のままになっていることが原因となることもあります。機器の出荷時に設定された初期パスワードなどの初期設定は第三者にも知られている場合が多いため、そのまま使っていると不正アクセスやハッキングされやすくなります。

防犯カメラの映像が流出する主な原因

これからできる対応策は?

防犯カメラ映像の流出被害に遭わないようにするためには、まずは「現状を正確に把握すること」です。

まずは、次の点を確認してみてください。

・事業所内に何台のカメラがあるのか?

・どこに設置されているのか?

・どこのメーカー・機種の防犯カメラなのか?

・誰が管理しているのか?

・誰が防犯カメラ映像にアクセスできるのか?

いずれも基本的な事項ですが、実は正確に把握できていないケースも少なくありません。職員の異動、退職によって管理が属人化して至り、設置当時の当事者しか分からない状態になっているケースや、製造したメーカーの統廃合、機器のサポートの終了等が理由でそもそも脆弱性対策ができていない古い機器を使い続けている場合もあります。

まずは現状を正確に把握しよう!

 

まずは、「今どうなっているのか」を把握するようにしましょう。

そのうえで、次のような対策も検討してみてください。

①防犯カメラの機器の初期設定を変更する

防犯カメラ機器が出荷時の初期設定のままになっていないか確認し、パスワードなどは事業所専用のものに変更しましょう。これによりパスワードを突破して侵入されるリスクを減らせます。パスワード変更する際は、他で使用しているパスワードを使いまわすのは避けてください。万が一、別の場面パスワードが漏洩してしまった場合に防犯カメラまで被害が広がるおそれがあるためです。防犯カメラ専用の十分に強度のあるパスワードを設定するようにしましょう。

②事業所全体のサイバーセキュリティ体制を確認する

防犯カメラ機器だけではなく、周辺機器やIT環境にも目を向ける必要があります。

例えば、使用しているパソコンのOSがサポート切れになっていないか、ウイルス対策ソフトを導入しているものの、使用期限が切れていないか、といった点は見落とされがちですが、こうした小さな穴が不正アクセスの入り口となってしまいます。

最低限確認すべきポイントに関しては、こちらのコラムでも解説していますので、併せて参考にしてください。(コラムはこちら

③運用ルールを設定する

どれだけ機器の対策を整えても、実際に運用するのは「人」です。そのため、運用ルールを明確にすることも欠かせません。例えば、

・防犯カメラの管理者を誰にするのか

・映像データにアクセスできる従業員はどこまでか(例:役員のみか、部長まで含むか等)

・現在の設定内容をどこに記録・保管しているか

・パスワードはどのくらいの頻度で変更するか

・防犯カメラのメーカー、購入先、担当者名を把握しているか

・いつ頃を目安に買い替えをするか

・防犯カメラ映像の利用目的や利用範囲

・問題が発生した場合の連絡先・対応フロー

こういった取り決めを文書化して保管しておくと安全な運用がしやすくなります。

「デジタル」や「IT」と聞くと急に不安になったり、「難しそう」「自分には分からない」と感じてしまう方も多いかと思います。しかし、全部自分たちでやろうとしなくて大丈夫です。

大切なのは、「今の状況を把握すること」と「分からないときに相談できる相手がいること」です。

防犯カメラをはじめIT機器には、メーカーや専門業者という強い味方がいます。彼らに質問や相談すれば色々と教えてくれます。質問や相談をすれば、現在の状況や必要な対策を分かりやすく説明してくれるはずです。

「分からない」「知らない」「関係ない」として放置せずに、小さな1歩を踏み出すことが最大のリスク対策になります。

専門業者さんのサポートを得るのも一策

 

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この記事を書いた人

弁護士武田 竜太郎たけだ りゅうたろう

2006年司法試験合格。外資系の弁護士事務所で約7年間、企業法務(M&Aやベンチャー支援など)に従事。企業買収を通じて会計への関心を深め、都内の不動産会社に転職し、社内弁護士として法務部門の立ち上げに携わる。勤務と並行して会計を学び、公認会計士試験に合格。

2025年に初任者研修修了。企業法務・M&A・会計の知識と経験を活かしながら、現在は介護・福祉分野の事業所支援に注力している。

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