
【初任者研修レポート②】
弁護士武田のはじめての介護研修
介護弁護士になるべく、初任者研修を受講しました弁護士の武田です。弁護士法人おかげさまで仕事をするまでは、介護福祉業界のご依頼者様を担当することは何度かありましたが、介護福祉現場で行われる業務内容の詳しいことまでは知りませんでした。初任者研習の受講が進むにつれて、知識と実習経験が積み重なり、介護の実際に触れることができました。本レポートでは、私が初任者研修を通じて気づき、学んだことをお伝えし、弁護士法人おかげさまの介護・福祉業界に寄せる熱意や想いを感じ取っていただけましたら幸いです。
第二回目となる本レポートでは、「食事」と「入浴」についてです。
初任者研修での「食事」と「入浴」の演習は、どちらも生活の根幹に関わる行為でありながら、その支援においては単なる作業や手順を超えた「人との関わり」が求められることを痛感しました。

初任者研修で使用したテキスト
食事演習で感じたこと
研修ではまず、実際に自分が「介助される側」となって食事を体験しました。スプーンで一口ずつ口元に運ばれることは、想像以上に緊張感がありました。食べるタイミングを奪われる、口に運ばれたものを飲み込む準備ができていない、そんな小さなストレスが積み重なっていきました。
それだけに、介助者の「間」や「声かけ」がどれほど大切かがわかります。「いま一口、いきますね」「よく噛めていますね」といった言葉や、急かさない姿勢が、安心感と尊厳を支えることにつながることを理解しました。
また、本人の咀嚼力や嚥下力を正しく理解したうえで、食事形態(常食・刻み・ミキサー等)を選ぶことも必要です。法的に見れば「安全配慮義務」として語られることですが、現場では単なるリスク回避ではなく、「おいしく、楽しく、安全に食べる」ための工夫として実践されていました。

入浴介助は「清潔」も大事だが、「安心」を伝えることも大事
入浴は清潔を保つ行為であると同時にプライバシーや羞恥心に深く関わります。
研修で学んだのは、「ただ体を清潔にする」ことではなく、「安心して身を委ねられる空間をつくる」ことの重要性でした。 介助者の立ち位置、声かけの内容、タオルのかけ方ひとつで、利用者の感じ方は大きく変わります。
たとえば、「右手を上げてください」と言う代わりに、「今から、右手を洗わせていただきますね」と伝えるだけで、命令形から尊重のニュアンスへと変わります。

「衛生管理」と「心のケア」の両立
入浴には転倒や感染の対策など、多くの注意点がありますが、物理的な安全を守るだけでは不十分です。
「今日も気持ちよかった」「また入りたい」と思っていただけるかどうか——そこに介護の質が現れるとわかり、弁護士の視点では見落としがちな「快適さ」や「安心感」も、現場での支援の本質と痛感しました。
介護弁護士としての決意
食事も入浴も、人間らしい生活の象徴であり、単なる健康管理や衛生処置ではありません。今回の研修を通じて学んだ「心を込めて支える技術」は、今後の法的支援の在り方にも直結すると確信しています。
弁護士法人おかげさまの弁護士は、介護に関わる研修を受けている「介護弁護士」として現場の皆さまをお支えします。法律はすべての現場に関わりますが、介護現場を理解すること抜きには、法律家として真の支援はできないと考えています。だからこそ、時代や社会の変化に応じて学びを続け、介護に携わる方々と共に歩んでまいります。

弁護士法人おかげさまは、介護・福祉に特化した弁護士法人です。そのため、在籍する弁護士は介護に関する研修を受講し、介護・福祉の現場の深い理解に努めております。法律はすべての現場に等しく関係し、すべての人に等しく在る存在です。それ故にそれぞれの介護現場のことを理解する力が求められます。だからこそ介護に関する研修を受けることが重要であり、介護弁護士を名乗る以上、今後も時代の変化、社会の変化に応じて学びは絶えず行っていく所存です。この学びや現場理解が弁護士法人おかげさまの強みであると、私は考えております。

弁護士武田 竜太郎
2006年司法試験合格。外資系の弁護士事務所で約7年間、企業法務(M&Aやベンチャー支援など)に従事。企業買収を通じて会計への関心を深め、都内の不動産会社に転職し、社内弁護士として法務部門の立ち上げに携わる。勤務と並行して会計を学び、公認会計士試験に合格。
2025年に初任者研修修了。企業法務・M&A・会計の知識と経験を活かしながら、現在は介護・福祉分野の事業所支援に注力している。






