【ミニコラム】社労士のミスで助成金が貰えない!事業者はどう対応するべきか?

カテゴリ
【ミニコラム】おかげさま事件簿
(解決事例集)
公開日
2026.02.24
社労士のミスで助成金が貰えない!事業者はどう対応するべきか?

社労士のミスで助成金が貰えない!事業者はどう対応するべきか?

経営に必要な資金について、助成金や補助金を活用する場面も少なくありません。しかし、これらの申請書類は内容が複雑で、事業所自身で作成するのが難しいケースも多くあります。そういった場合は、私たち弁護士をはじめとする各種専門家のサポートを受けて申請を進めることが一般的ですが、その専門家がミスをして助成金や補助金が使えなくなるといったことも稀に発生します。

「専門家だから依頼したのに残念…」

「とはいえ、専門家も人間だからミスは仕方無いのだろうか…」

悔しい気持ちと仕方無いと割り切ろうと思う気持ちが入り混じりますが、このような場合、事業所は泣き寝入りをするしかないのでしょうか。

今回は、顧問契約している社会保険労務士(社労士)のミスで助成金を受給できなくなったクリニックの事例を基に、専門家にどこまで補償してもらえるのか、補償をお願いする際の注意点を解説します。

社労士の書類作成ミスで助成金がもらえなくなったクリニック

当事務所の顧問先様のあるクリニックで、職員の働き方を支援するため、国の助成金を活用することを検討していました。この助成金は、不妊治療に伴う遅刻・早退があった場合でも、事業者が賃金を減額せずに満額支払ったときに、その賃金相当額を国が補填する制度です。本来であれば、遅刻や早退があれば賃金を控除することになりますが、その控除を行わず賃金を満額支払った場合に支援を受けられる仕組みとなっています。

そこでクリニックは、顧問契約を締結している社労士に対し、この助成金の申請書類の作成を依頼しました。

社労士からは、「うちとしては初めての申請ですが、やってみます。」との説明があり、経験がない点に一抹の不安はあったものの、依頼することとしました。

そのクリニックでは、助成金の取得を見込んで、当該職員が治療のために遅刻・早退した場合でも賃金を減額せず、満額を支払っていました。

申請してから数週間後、クリニックに社労士がやって来ました。

「今回の助成金ですが、私の書類作成ミスにより申請が通りませんでした。申し訳ございません・・・」

社労士の説明によると、この助成金は創設されて間もない制度で、社労士自身も申請に慣れておらず、ミスをしてしまったとのことでした。

そして、その後、院長から当事務所に相談がありました。

「今回の社労士のミスは専門家のミスだから、既に支出した分の費用くらいは社労士に請求できないだろうか?」

「あまり強く言うとカスタマーハラスメントになるので、どこまで責任追及して良いものか?」

という内容でした。

社労士のミスは専門家のミスだから、損した分は保証できない?

費用の請求はできるけど…

今回のケースでは、助成金の受給を前提として支払った賃金相当額(数万円程度)について、社労士に補填を求めること自体は可能と考えられます。そのため、クリニックが社労士に対し、補償について相談・請求すること自体は問題ないとアドバイスしました。

もっとも、法的に責任の有無を判断する場合は、社労士自身が「未経験で初めての申請」と事前に説明していることや、助成金はそもそも申請したとしても不支給となるリスクがあり得ることといった事情も考慮されます。

他方で、社労士自身もミスを本人が認めていることから、そのミスによって生じた損害については、一定の補償がなされるべき場面ともいえます。

実務上、社労士のような専門家の中には、業務上の過失に備えて職業賠償責任保険に加入しているケースも多く、今回のような事案について補償が可能な場合もあります。

ただし、社労士を含め顧問契約している専門家とは継続的に取引となることが多いため、今後のことを考えて請求するかを決めると良いでしょう。

特に、顧問契約料が安い専門家の場合は、長い目で見ると、良い関係を築いておいた方がお得です。失った費用と顧問契約料とを比べてみて検討するのがお勧めです。

助成金が取れなかった悔しさは理解できますが、その先の関係性も考慮して、対応を検討してみてください。

中長期視点で対応を考えよう

 

弁護士法人おかげさま無料メルマガ

当事務所は無料メルマガで最新情報、トラブル解決コラム、著書紹介、セミナー案内など、介護・福祉事業所にとって役に立つ情報を配信しております。経営者様、施設長にとって役立つ情報でもあります。無料ですので、ぜひ登録ください。

メルマガに登録する
この記事を書いた人

弁護士武田 竜太郎たけだ りゅうたろう

2006年司法試験合格。外資系の弁護士事務所で約7年間、企業法務(M&Aやベンチャー支援など)に従事。企業買収を通じて会計への関心を深め、都内の不動産会社に転職し、社内弁護士として法務部門の立ち上げに携わる。勤務と並行して会計を学び、公認会計士試験に合格。

2025年に初任者研修修了。企業法務・M&A・会計の知識と経験を活かしながら、現在は介護・福祉分野の事業所支援に注力している。

PATE TOP
電話 お問い合わせ