【ミニコラム】こんな時はどうする?職員の顔写真提供問題

カテゴリ
【ミニコラム】おかげさま事件簿
(解決事例集)
公開日
2026.03.02
こんな時はどうする?職員の顔写真提供問題

こんな時はどうする?職員の顔写真提供問題

昨今は、社会の中にカメラが多数存在するようになりました。防犯カメラ、車載カメラ、スマホのカメラ、至るところにカメラがあります。自宅で飼っているペットの様子を出先から確認するためのカメラや、別室で寝ている赤ちゃんの様子を確認するためのカメラ…スマホからチェックできるものもあり、大変便利になっています。

介護・福祉分野でも活用されますが、同時に様々な新たな問題・課題も生じています。今回はこのカメラに関してご相談事例をご紹介します。

職員の顔写真の提供を求めるご利用者の息子さん

当事務所の顧問先様である訪問介護事業所からのご相談です。

ご利用者Aさんは、週3回のサービス利用をしていました。ご自宅から自動車で1時間ほどのところに、息子のBさんが住んでいます。

このBさんから、事業所に対して「うちに来る職員の顔写真を提供してほしい」というご依頼がありました。

その理由を尋ねたところ、Bさんは、普段のAさんの様子を見守りカメラで時々見ているとのことでした。高齢の親が単身で暮らしているのが心配で、カメラを設置し、カメラ映像はBさんのスマホで確認できるようになっていました。

この見守りカメラは高性能で、見知らぬ人が入ってきた時、Bさんのスマホに通知が届くようになっていました。訪問してきた職員に反応し、毎回スマホに通知が来ることを煩わしく思っていたそうです。予め顔写真を登録しておけば、その人は除外されるるということで、自宅に来る職員の顔写真の提供を求めてきたのです。

「変なことには絶対に使わない」
「事前に書類への署名が必要なら従う」

と、Bさんは申し出てくれました。

しかし事業所としては、

「職員の顔写真を提供するのは本当に問題ないのだろうか?」

ということで、事業所としてどのように対応するべきか、当事務所へご連絡が来ました。

職員の顔写真を提供するのは本当に問題ないのだろうか?

職員の肖像権、後々のことを考えお断りするのが基本

新規のテーマでありなかなか難しいご相談でしたが、当事務所としては「コンプライアンス上、職員の肖像権に配慮しなければならないので、対応しかねます」とお伝えするようアドバイスしました。

肖像権とは、自分の顔や姿(肖像)を無断で撮影されたり、撮影された写真や映像を勝手に公開・利用されたりしない権利で、憲法13条(幸福追求権)などに由来し、人格権の一部として認められています。

職員自身の顔写真が、同意していないところに渡ることはこの権利の侵害になり得ます。もちろん、中には提供を許可する職員もいるでしょう。しかし現実問題としてこのご家庭だけ許可を都度確認することは煩雑であり、また許可する職員だけでAさんへのサービス提供をし続けることは不可能です。Bさんのご要望に完璧に応えていては事業所全体の効率が悪くなりますし、他のご利用者にも悪影響が出かねません。

ただ一方で、事業所の都合を前面に出すとBさんの気持ちを損ねかねないので、お断りする際は職員の肖像権というコンプライアンスを前面に押し出した方が無難と考え、このようにアドバイスしました。

最終的にBさんは理解して下さり、スムーズに業務ができているとのことです。

肖像権の問題 効率の問題

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この記事を書いた人
代表弁護士 外岡潤

弁護士外岡 潤そとおか じゅん

弁護士法人おかげさま 代表弁護士(第二東京弁護士会所属)

2003年東京大学法学部卒業後、2005年司法試験合格。大手渉外事務所勤務を経て2009年に法律事務所おかげさまを開設。開設当初より介護・福祉特化の「介護弁護士」として事業所の支援を実施。2022年に弁護士法人おかげさまを設立。

ホームヘルパー2級、視覚ガイドヘルパー、保育士、レクリエーション検定2級の資格を保有。

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