弁護士費用の御見積書の決め方、こっそり教えます

あなたは、今までの人生の中で弁護士にトラブル対応の依頼をしたことはありますか?そういう方は、それほど多くないことと思います。

実は弁護士というものは何か起きた後だけでなく、日頃から親しんで頂くことで得することが沢山あるのです。ただ、やはり弁護士はともすれば「怖い存在」「堅物な存在」というイメージがあり、普通に生活していれば大きなトラブルに巻き込まれることも無いでしょうから、「私には関係が無い」ということで、あまり馴染みがないことでしょう。

弁護士という職業がどういうものか分からない以上、実際に依頼する場合の費用については皆目見当がつかないのではないかと推測します。

これが、例えば理系で最高峰の専門職である医師という職業では、患者側は診療費や治療代の価格を知らなくても保険診療で3割を払うので「概ねこれくらいの金額だろう」と予測できます。

しかし、弁護士費用というものは「概ねこの範囲だろう」という予測がなかなか出来ず、高級寿司屋の「時価」のような、言ってみれば怪しい、怖いというイメージがあるのではないでしょうか。人によっては、ドラマや物語に出てくる「高額をふんだくる悪徳弁護士」という像すらあるかもしれません。

そこで、本コラムでは、実はこの業界でもなかなか語られることのない「弁護士費用の設定方法」について解説し、少しでもご相談の精神的ハードルを下げ、参考にしていただければと思います。

なお、弁護士費用については現在自由化されており、本コラムに記載したやり方は、当法人独自の方法となります。予めご了承ください。

 

弁護士の登場シーン

弁護士の登場シーン
弁護士が登場するシーンは法廷のみと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。ドラマや映画では、弁護士が裁判所で「異議あり!」と大きな声で検察に立ち向かうシーンが描かれていますが、そのような華々しい場面だけで登場する訳ではありません。実際には以下のような活動の場面があり、順に解説します。

 

●トラブルを未然に防ぐためのアドバイザーとして

アドバイザーとしての弁護士

依頼人にとって弁護士は、事前に落とし穴を教えてくれる「転ばぬ先の杖」として活躍します。大抵のトラブルは、起きてしまってからでは挽回が難しく、ときに深刻なダメージを被ることになります。

弁護士はトラブル解決の専門家であり、沢山の「失敗事例」を経験しています。その経験と知識を総動員し、トラブル予防の観点から法的アドバイスをご提供します。

典型的なものが労務トラブルです。例えば依頼者から「この職員はこれだけ問題があり、すぐにでも解雇してしまいたいけれど、問題ないか」という相談を受け、弁護士は現行の法律に照らしチェックしたり、過去の判例を参考にリスクを検討し、最善の一手を提示します。ときにはそれが、依頼者の思惑と異なり、不満に感じられることもあるかもしれません。しかし「急がば回れ」の言葉通り、トラブルを回避するためには慎重に行った方が良いことも多々あるのです。こうした、真に依頼者のためになるアドバイスを、法律の専門家としてご提供することが弁護士の重要な業務となります。

その他、契約書の作成やチェック、法人の内部研修講師、新たに立ち上げるプロジェクトのリーガルリスクの洗い出しなど、予防のためにできることは多岐に渡ります。この段階でどれだけリスクを見出し潰していけるかが、弁護士の腕の見せ所といえるでしょう。

 

●示談交渉の代理人として

示談交渉の代理人としての弁護士

トラブルが発生した際に、相手方との示談交渉を進める代理人として動きます。事件と無関係な弁護士が代理人となることで相手方とも冷静にやり取りができますし、法律に則った対処ができます。

この活動は、いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)から現場職員を守るという点で絶大な効力を発揮します。代理人を立てなければ、例えばご利用者が転倒し「どう責任を取ってくれるんだ!」と詰め寄るご家族の相手を、施設長や相談員がしなければなりません。そこに弁護士が代理人として介入すると、相手も冷静になり法律に基づいた公正でスムーズな対応が可能となります。

勿論、ご家族側も弁護士を探してきて代理人とすることもあるのですが、その方が弁護士同士でやり取りできるので、ちょうどプロ棋士の対戦のように先々を見通して迅速に話を進めることが期待できます。

 

●訴訟の代理人として

訴訟の代理人としての弁護士

訴訟に発展した際の代理人として動きます。この活動は、数ある「士業」の中でも弁護士しかできません(軽微な案件の場合、司法書士は簡易裁判所で例外的に代理人となることができます)。裁判所に提出する書類作成から裁判所や相手方とのやり取り、証人尋問の戦略構築やリハーサルなどを入念に行い、最善を尽くします。

裁判については、「代理人を立てても自分が毎回裁判所に行かなければならないのではないか」と不安になる方が多いようです。そのようなことは無く、基本的に弁護士にお任せできるのでご安心ください。裁判の詳細については過去のこちらのコラムもご参照ください。

以上がおおまかに言って弁護士の主な業務ですが、それでは、こうした業務を依頼した場合弁護士費用はどのようなものがあり幾らかかるのでしょうか。恐らく皆様の一番興味のあるところかと思いますが、以下詳しく解説します。

 

弁護士費用の種類

一口に弁護士費用といっても、「着手金」「時間制手数料(タイムチャージ)」「成功報酬」という3つの種類があります。なお、この構成は当事務所の採る方法であり、「着手金を取る場合はタイムチャージは発生しない」、或いはその逆という事務所も多々あります。

弁護士費用の種類

まず「着手金」とは、依頼された事案に対して弁護士が取り掛かる際にお支払い頂く費用です。裁判の代理の場合は「ファイトマネー」のような位置づけですね。

例えば、事案の詳細を把握するための打ち合わせ費用(従って、着手金を払った以降は個別に相談料を払う必要はありません)、事案に関係する調査や内部打ち合わせ、電話やメールのやり取り、必要な書類を作成する費用、トラブルの相手と連絡をとる費用などが組み込まれた費用です。

この着手金は、依頼された事案がどのような結果になっても返金されることはありません。思い通りの結果にならなくても着手金は返ってきませんのでご留意ください。

ただし、事案が終結する前の段階で、途中で委任を終了させる場合は別です。弁護士との話し合いが必要になりますが、進捗度に応じて着手金の一部を返還してもらうこともできます。

「時間制手数料(タイムチャージ)」は、依頼された事案の対応に要する時間に対して、1時間あたりの弁護士の費用をかけて算出した費用です。前述のように着手金とタイムチャージは通常両立しないとする事務所が多いのですが、当事務所では相手方や裁判所に出張するときに、都度面談や裁判期日に要した時間に応じたタイムチャージを設定させて頂いております。つまり、着手金とタイムチャージのハイブリッド型といえます。

「成功報酬」は、示談交渉では相手方と和解が成立し、裁判では勝訴したようなときに、予め決めておいた割合を獲得金額にかけたものを事件終結後にお支払い頂くものです。

これは飽くまで成功したときの報酬ですから、成功しなかった場合は当然発生しません。

概ね上記3つの費用で弁護士費用は構成されますが、その他郵便代やコピー代、交通費等の実費分が発生します。当事務所で医療調査が必要な場合、協力医の先生をご紹介し医師としてのアドバイスを頂くこともありますが、その場合はその先生にお支払いする対価が別途発生します。

 

弁護士費用は事案ごとに見積を発行

弁護士費用については、弁護士界全体が長らく日本弁護士連合会が定める報酬規程に従うという方針でやってきました。ですがこれは2004年に解禁され、現在は完全自由化されています。旧日弁連の報酬規程は現在でも参考価格とされ、多くの事務所がこれを踏襲していますが、当事務所ではまずご相談料を頂いた上でご相談に応じ、そこから得られた情報をもとに必要な弁護士費用を個別に算出し、お見積書の形式でご提示しています。進め方は一般企業の商取引と同じであり、お見積をご相談者にお渡しし、相見積もりを取って頂いても構いません。それこそ寿司屋やぼったくり飲食店のように、飲食した後で根拠不明な高額を吹っ掛けられるということはありませんのでご安心頂ければと思います。

条件にご了承いただけましたら、委任契約を交わし業務を開始します。その際、着手金を先にお支払い頂くことになります。

弁護士費用は見積書を出します

 

弁護士費用の支払いタイミングは費用ごとに異なる

弁護士費用の支払いは、費用ごとに異なります。

着手金は、弁護士が対応するための最低チャージ料金なので、前金でお支払いいただきます。お支払いを確認してから弁護士は対応にあたります。

出張費は出張ごとにお支払いいただきます。当事務所では出張が発生した場合、移動時間は出張費に含まれず、実際に面談や交渉等をした時間をベースとしてご請求します。弁護士が出張しての対応を全て終えた段階で出張費をお支払いいただきます。

成功報酬は事案が完了した後にお支払い頂きます。カスハラの対応などでは、「相手方からハラスメントが来なくなったときに発生」といったやや漠然とした条件とせざるを得ないこともあるのですが、いつ成功したといえるかは依頼者の方と協議し納得を得られた上でご請求するようにしています。

弁護士費用の支払いタイミング

 

弁護士費用が高くなるときとは?

弁護士費用、特に着手金は事案により数万~数十万のばらつきが生じる傾向があります。依頼する方からすれば弁護士費用が安いに越したことはないと思いますが、どうしても費用が高くなるポイントがあります。

一つには事案の複雑性があります。検討せねばならない法的論点が多く、証拠集めや資料の分析に時間を多く要するような場合です。

トラブルの相手方や関係者の人数が多い場合は、聞き取り調査や集めるべき証拠の数が増えてしまうので、その分の労力や時間が増え費用が上がりやすくなります。

もう一つは、終結までに要するであろう時間の長短です。例えば介護事故でも、単純な転倒事故と比べ褥瘡や癌の見落としなど、継続的な事案であり医療的観点からも精査が必要な場合は費用も高額となります。労務トラブルでも、残業代請求の他にハラスメント等の訴えが複数あり、相手方も弁護士を立て徹底抗戦の構えである、といった場合は費用も膨らみます。

このように、弁護士は(少なくとも弊所では)気まぐれで費用を高くしたり、依頼者の好き嫌いで決めるようなことはありませんので、その点はご安心頂ければと思います。当事務所は明朗会計を心がけております。

弁護士費用が高くなる場合

 

弁護士費用の算出が難しいポイント

弁護士費用というものはそもそも確たる原価がなく、旧日弁連報酬規程しか基準がないため、その算定には毎回頭を悩ませます。当事務所の場合、お世話になっている顧問先様であれば費用をディスカウントするといった調整を毎回しています。

中でも難しいのが「成功報酬」です。例えば「行政から2000万円の介護報酬返還を求められたが、支払いを否定したい」といった依頼の場合、どのような条件がフェアといえるでしょうか。

旧日弁連の基準では、依頼者が訴えられて請求されている立場でも、機械的に「相手の請求額と、裁判等で出た結果の額の差額」を基準として報酬を%で算出します。それでいけば、本件でも数十万円の報酬が発生することになるでしょう。

しかし、依頼者からすれば、本件では「行政に払わずに済んだ」というだけで1円もお金を得られるわけではありません。それにも拘らず弁護士には設定額に応じた謝礼を払うというのも、個人的にはそれでは気持ちよく払えないのではないか…と感じます。しかし、かといって0円とすることも弁護士側のモチベーションに関わるところがあり、ここが難しいと感じる最大のポイントです。

当事務所では、事案の難易度や時間労力のかかり具合に応じて、なるべく納得感の得られるような、良心的と感じて頂ける額を報酬として設定するよう配慮しています。

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弁護士費用を安く抑える方法?

弁護士費用を下げる手はあるのでしょうか。実はあります。弁護士への依頼は基本的に「丸投げ」ですが、依頼者の側で下準備をして頂くことは可能であり、そうして頂く分弁護士の側の手間は減るので費用を下げることができます。

また、示談交渉のレベルであれば、弁護士名義で書面等を出さずとも、依頼者のお名前で提出し対応することで足りる場合もあります。そのようなときは着手金等も発生せず、顧問先様であれば顧問弁護士としてのアドバイスだけで、実質無料でトラブルを切り抜けることも可能です。関わる額が低額な場合はその方針をお勧めしています。

その他、出張費については面談を対面で行わずオンラインで代替するなどして抑えることが可能です。

 弁護士の負担が減れば費用を抑えやすい

 

費用をケチると大変な目に…?

弁護士費用を抑えることは可能ですが、大抵の場合はあまりお勧めしません。「生兵法は大けがのもと」という諺がありますが、中途半端な理解で行動し、却ってトラブルを深刻なものにしてしまうということも往々にしてあります。

長年のキャリアに基づき、弁護士が出るまでもないと判断する場合は依頼者自らの対応をお勧めしますが、少しでも安く抑えたいので自分達でやるというのは危険です。最初からお任せした方が、依頼者としても余計な労力や時間をセーブすることができ却って安上がりとなることもあるのです。ある意味、顧問契約という形態はその究極的な方法といえるでしょう。最初から法務部を外部にアウトソースすることで、全方位から法的リスクを回避することが可能となります。

重要なことは何より問題を予防・解決することですから、弁護士費用を下げることに意識を向けるあまりこじらせることが無いよう、注意が必要です。

生兵法は大けがのもと

まずはご相談ください

弁護士費用は事案ごとに異なりますので、どういうご相談内容かをうかがわないと算出できません。一方で単発のご相談は、当然一回分のご相談料しか発生せず、その後自動的に高額の着手金を請求されるということはありませんので、安心してまずはご相談をいただければと思います。

その際、お手元に証拠になるもの(文書やメールのやりとりなど)、関係者の相関図などの資料があるとより明確にご相談内容を把握できるので、細かくお見積費用を算出することができます。当事務所の別コラムで発信した「今さら聞けない?「弁護士」に関する疑問20選」内では、弁護士費用に関するよくあるQ&Aを掲載しております。こちらもご一読いただけると弁護士との付き合い方を深くご理解頂けることでしょう。

ご相談内容が分かればお見積りができます

 

最強のトラブル予防策は日々のこまめな手当て

外岡潤
弁護士は予防も重要な業務と申しましたが、そうはいっても殆どの場合、トラブルが起きたり手遅れになってから持ち込まれる場合が殆どです。

しかし、トラブルが発生すると、当事者にも取り返しのつかない損失が発生し、その賠償は深刻な問題となります。対応のための時間と不安を抱えたまま日頃の業務に取り組まなければならず、労力、心労も増えてしまいます。

当然ですが、本来、事業所としてはトラブルが無い状態が望ましく、トラブルとは無縁でいたいというのがトップの方の願いでしょう。

「できれば弁護士のお世話にはなりたくない」、実はその思いは、逆説的ですが「普段から弁護士のお世話になる」ことで叶えることができます。予防のために事前相談することは、言ってみればよその「しくじりケース」を最大限に活かし、自分たちだけ得をするという絶大な効果が得られるものなのです。

当事務所は介護福の祉分野に特化した弁護士法人ですので、大抵のトラブルは経験があり、豊富な知見に基づき確度の高い予防・回避策をご提示できます。ここが当事務所を利用する最大のメリットの一つです。

当事務所は顧問弁護士プランをご用意し、日頃からリスクを最大限無くすためのサポートをしております。現在、全国の150を超える介護福祉事業所が顧問先であり、日々トラブルを未然に防ぐお手伝いをしております。

顧問弁護士は月額費用がかかりますが、トラブルの芽の段階でご相談いただければリスクを下げることができます。顧問先様であれば、「これはトラブルになるかも」と思った段階ですぐに電話やメールでご相談ができます。以下に別途情報をまとめておりますので、ぜひご覧ください。

また、当事務所の別コラムで発信した「今さら聞けない?「弁護士」に関する疑問20選」内でも、よく頂くQ&Aをまとめておりますので、ご一読いただけますと幸いです。

  • 2024.7.7

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