(訪問系事業所向け)[ふじみ野市事件を教訓に]明確な理由なく訪問を求められたら?

今回は大変重い話になりますが、よく相談を受けるケースです。

ふじみ野市事件について

令和4年の1月末頃、ある亡くなられた患者の家を訪問された医療関係者の方が、銃で撃た
れてお医者様が亡くなったという大変ショッキングな事件がありました。
訪問する医療関係者・介護事業所の方は、ご利用者と信頼関係があって初めて訪問が成り立
つ世界であるにも関わらず、そこに根底からくさびを打ち込むような、後戻りできない事件
が起きてしまったと思います。
しかし、このような銃や狂気を持つ人間が世の中にどれだけいるかというと、大多数の方は
善良であり、自宅での医療やケアを必要としています。そういう方たちのためにケアを提供
しなければならない中で、ハラスメントと呼ばれるような、怒鳴られたり怖い思いをしたり
することが日常的にあると思いますが、そのような場合が予想される訪問を求められたら
どう対応すればいいのか、まずは質問を見ていきましょう。

質問

ご利用者のご家族で、自ら話しをしているうちに感情が高ぶり、突然理由なく爆発するとい
う方がいました。その方が長年介護をしてきた親御さんが持病で亡くなり、「どうやら担当
の医師やケアマネ等を逆恨みしているらしい」や、「医者やケアマネのせいで亡くなったと
言っている」という噂が聞こえてきました。もしその方から医師やケアマネに対して「線香
をあげに立ち寄ってほしい」と言われたら、どう応じるべきでしょうか。

業務目的外での訪問をすべきかどうか

法的には当然、ご利用者が亡くなられた時点でサービス契約も終了していますから、訪問は
義務ではありません。ですが介護や医療関係者の方においては、ご利用者が亡くなられた後
でもお通夜や告別式に臨席することがあります。この点について介護や医療という職業が
とてもヒューマンであり、私自身、祖母の葬儀に担当のケアマネさんが訪問してくださって、
大変嬉しかったです。
業務目的外の訪問行為は義務ではなく善意であり、何が起こるかわからない身の危険を感
じるような場合に訪問を求められた時は、どう返答すれば良いでしょうか。

対応例

もちろん正解はないのですが、例えばこのような答え方が考えられます。
「お伺いしたいのは山々ですが、事情があり訪問は致しかねます。ご用件はお手紙かメ
ールでいただければと思います」

ただし、これで引き下がるような人ではないはずですので、「事情って何だ。こっちには話
したいことがある。来い!」と言われたらどうするか。その場合は、
「失礼ながらこれまで対応してきました経験上、ご家族様にはお話の中で感情が高ぶり、
自身をコントロールできなくなる傾向があるのではないかと見受けしました。今もまさに
そのような状態になりかけていると思われ、事情というのは端的に言いますと身の危険を
感じるためです」

と、ここまではっきり言わないとやはり伝わらないのではないかと思います。
確かに、ストレートに言うことで余計に相手を逆上させてしまう懸念もありますが、ここは
毅然な態度で線引きをしていかないと、言いなりになってしまいます。まさかふじみ野市事
件のようなことまで起こるとは誰も予想しないとは思いますが、やはり毅然と対応しなけ
ればいけない場合もあるかと思います。

犯罪に該当する行為

「そういうことなら、こっちから行ってやる」みたいに言われたら、
「それもお断りします。失礼ですがこちらの事務所には来ないようはっきりお願い申し
上げます。もし強行されるのであれば、こちらも警察に通報せざるを得ません」

と対応します。これは具体的言うと、威力業務妨害罪脅迫罪といった
犯罪がありますので、「今から押しかけてやる」みたいなことを言うのは、こういった犯罪
に該当します。

新型コロナウイルスや信頼関係の未構築を理由に断る

「どうして会わなければ伝えられないのでしょうか。新型コロナウイルスのこともあり
ますし、基本的に業務が終了した後でお伺いする法的な義務はないはずです」

といった返答に対し、「線香の一本ぐらいあげに来るのが筋だろう」や「常識を知らないの
か」と言われたとします。そういった時には、
「お言葉ですが、もちろん私達も通常の信頼関係を築けているご家族様には、できる限
りご葬儀やお悔やみのご挨拶をさせていただくことにしています。ですがそれは法的な義
務ではなく、あくまで私達医療介護関係者が自発的にしているものです。今までの経緯もあ
りますが、「お前」等の乱暴な言葉を使われるのは残念ながらご家族様との信頼関係を築く
ことができなかったと言わざるを得ませんので、ご理解ください。失礼いたします」

と言って、もう電話を切ってしまうという方法もあります。

普段から気をつけておくこと

これらが絶対の正解ではありませんので、ケースによって慎重に対応していく必要があり
ますが、ふじみ野市事件は非常に極端とはいえ現実に起きた事件には変わりありません。
何に気をつけるべきかの一つの考え方として、ご利用者の情報、例えば家を訪問した時に飲
みかけのペットボトルが置いてあり不衛生だったとか、いろんなことに気づくと思います。
最低限自分の身を守る意識も持ち、猟銃が趣味あるとか、床の間に日本刀がかけてあるなど、
ひょっとしてこれが凶器に変わるかもしれないという情報を入手した場合、情報漏えいに
気をつけながら最低限その家を訪問をする関係者の間で共有し、警戒の度合いを高めてい
くことも必要だと思います。

まとめ

個人的にはやはりご利用者が亡くなった後でも、その方を忍び悼んで葬儀に同席するのは
非常に尊いことだと思いますので、いい意味での習慣が廃れないようにと願うばかりです。
今回の被害者である亡くなられたお医者様には、特にご冥福をお祈り申し上げます。
こういった業務外の訪問を求められた場合、法的にどうなのかを基軸に毅然とした対応を
することも考えられますので、参考になれば幸いです。
現場ではいろんなことがあると思いますが、こちらの記事で何かしらのヒントが得られ、心
が少しでも軽くなれば嬉しく思います。

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