身体拘束廃止未実施減算の落とし穴
『身体拘束に関する取り組み』について
「身体拘束の取り組みの未実施減算を受けた」という相談がありました。減算ですから何十万という返還が発生したわけですが、何を怠ったのかと言うと「研修をしなかった」とのことです。
この身体拘束廃止の取り組みは、施設では常識的に行われているかと思いますが、やむを得ず身体拘束をする場合、記録・委員会の開催・指針の整備・従業員に対する研修が要件となっています。なので、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・有料老人ホームでもそれらの取り組みを行っていると思いますが、いざ実地指導が行われると、思わぬところで足元をすくわれます。
それが「研修を定期的に実施する」です。
研修を定期的に実施とは
その意味は“年2回以上、および新規採用時”となりますが、大体の場合、年2回以上実施していても、新人を採用した時に必ず身体拘束の研修をやっているかが問われます。これを実施していなかったわけです。※厳密に言うと保健所によって規定が違う可能性もあるので、自分の所属する市はどうなっているのかをもう一度チェックしていただければと思います。
うっかりしていましたと。「では減算なので返還です」となった場合、これが利用者全員分について、所定単位数から1日あたり10%の減算なので、例えば毎月700万円の報酬額だとすると、10%で月70万、3ヶ月分で210万となり、結構な金額となります。
加えて「改善計画も出しなさい」となるともう大事ですので、教訓としては「定期的な研修とあるけれども、新人を採用時にその都度、研修をしなくてはいけないんだ」となりますが、新人には他にも教えることが沢山あります。
研修は何をやればいいのか
「講座や講習の時間は何分以上必要なのか」ですが、そのルールは全くありません。ということは、極論1分でもいいわけです。なので、こういう時代だからこそYouTube動画や、オンデマンド形式で受講することも効果的です。
1分でも「やりました」と言えて、実際に使ったレジュメや何月何日に実施したという証拠となるもの、例えば受講時の写真だとか、受講後のアンケートや感想など、或いは理解度を試すためのちょっとしたテストなど、それらを証拠に残しておけば、確かに受講して理解が定着したとわかるので、それらをセットにしてファイリングしておくのがお勧めです。
こういった新人研修のための『身体拘束とは何か。なぜやってはいけないのか。どういった時に例外的に許されるのか』を、これからピンポイントでまとめて解説していきたいと思いますので、ご期待ください。
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